◆インターラーケン~ユングフラウヨッホ/
スイスアルプスのハイライトは、
ユングフラウ・ヨッホ。
スイスアルプスの名峰をのぞむ登山鉄道で、
インターラーケン発アイガー。
赤い登山鉄道に乗って、
途中駅のクライネ・シャイデックで降りると
目の前には、
スイスアルプスの絶景が広がっていた。
緑のじゅうたんを敷き詰め、
なだらかにうねる山の上には
草を食む牛の群れがいて、
男の人が長さ3mほどの、
大きな大きなアルプスホルンを吹いている。
そののどかな音色は、
スイスのヨーデル音楽そのもの。
彼らはスイス特有のチロルハットをかぶり、
スイスの民族衣装をまとい、
いかにもスイスらしいいでたちで、
ホルンを吹いていました。
その腹の底から響きわたる、
ぼぉーっ、という音色は、
その後しばし脳裏をよぎりました。

さらに登山電車を乗り換え、
アイガーへ向かう。
アイガーはアイガー北壁で有名な絶壁の山で、
死の壁とも呼ばれ、
登攀に失敗して70人以上の人が命を落としている。
トンネル内のアイガー駅を降りると
岸壁を繰り抜いた窓から
アイガー北壁を真下に見下ろし
目を移すとアルプスの山々が聳えている。
さらにエレベーターであがれば展望台があり、
氷河を見下ろす谷の上に出る。
標高は富士山よりも高く、
眩しすぎるほどの陽の光が
純白の氷河に反射して、
乱反射した光の波がぎらぎらと照り返す。
再び登山電車で山の反対側へ下る。
終着駅はグリンデルワルド。
日本人憧れの山岳都市で、
市街地を離れ高原に向かえば
急な勾配の屋根の山小屋が並び、
それぞれの窓は花々で縁取られています。


◆インターラーケン/
裾野を辿りながらインターラーケンに戻る。
この街は美しい。
スイスアルプスの拠点・インターラーケンは、
以前はひっそりとした印象でしたが、
今は観光化されて賑やかになりました。
街の中央には広々とした芝生の広場があり、
ちょうどその日は
空からパラグライダーが舞い降りていました。
◆氷河特急/
翌日、インターラーケン発の電車に乗り、
途中駅から「氷河特急」に乗り込む。
この列車は特急と呼ばれているが、
とてつもなく遅く
世界でいちばん遅い特急とも言われ、
主たる目的は観光用。
真っ赤な列車の1等車に
天井を大きく開いた窓があり、
走りながらアルプスの牧歌的な風景を
愉しむことができます。
◆ツェルマット/
そしてツェルマットへ。
ツェルマットはマッターホルン登山の拠点。
珈琲のネスカフェはスイスに本社があり、
イメージ写真にこのマッターホルンが使われ、
その名峰の山麓にこの町があります。
ガソリン車乗り入れ禁止の環境に優しい町。
電気自動車と馬車が走るだけの、
のどかで小さな町です。
高原のこの町は軒を連ねるホテルや店、
そして家々の窓辺には、
それはそれは見事な花が飾られ、
スイスを彩る美しい風景が広がっています。
スイスは観光立国。
精密機械工業の先進国でもあり、
世界トップクラスの高収入を誇る国でもある。
国民生活は豊かで
その一方で観光資産を大切にし、
それを守るための細かな規定があります。
例えば窓辺を飾る花や、
洗濯物を干す場所など、
そんなところにも気配りして、
街や村を美しく着飾る。
静かで小さな山あいの町には、
そんな風景がよく似合いますが、
到着したその日は、
夏の軽井沢を思わせる
大勢の人が押し寄せていました。
それでも此処は、
ヨーロッパの避暑地との印象もある。
日本人観光客はちらほらで、
アジア人の観光客も少ない。
のんびりして心安らぐ風景があり
もういちど訪れたい
高原の美しい町です。
2018.5.23