悠久のモロッコからポルトガルへ


◆2月8日
/カサブランカ~ラバト

~メクネス

モロッコは、
ヨーロッパとイスラム文化が混交として
地中海の明るい陽射しが似合う
ひらけたところです。
旅は始まったばかり。
これからモロッコを巡り、
ジブラルタル海峡をフェリーでわたって
ポルトガルに向かいます。


◆2月9日
/フェズ

世界遺産の都市・フェズを訪ねました。
と言っても知らないと思いますが、
迷路のような旧市街。
二本のメインストリートの他は、
すれ違うのもやっとの細い路地が
網の目のように張り巡らされ、
日用品雑貨、食料、衣料、土産物などの店が、
何百、何千と犇めきあっています。
車が出入りできる路地はなく、
道は少しずつ折れ曲がり、
細い路地が交錯して、
自分がどこにいるのかさえわからない。
まさしく迷宮都市、不思議の世界。
未知との遭遇です。



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モロッコは、
同じ北アフリカでも
エジプトとは印象が全く違います。
エジプトは圧倒的な古代エジプト文明の賜物。
その奥の深さは
凄いとしか言いようがありませんが、
その一方でそこで暮らす人の生活は貧しい。
カイロは巨大都市。
けれど鉄骨が剥き出しのままの建物が
あちこちにあり、
道路の側壁は壊れたまま、
街には至るところに
ゴミが放置されています。

エジプトの問題は貧富の差にあるらしい。
聞くところによると成人の識字率は30%。
教育のレベルが国の屋台骨を
脆弱なものにしていると言います。
それに比べると
モロッコ成人の識字率は70%を超えている。
国を支えるのは教育なんでしょうね。
エジプトを案内したガイドさんは、
カイロ大学を卒業し、
その知見の深さは驚かされてばかりでした。
その彼が国の行く末を憂い、
この国をなんとかしなくちゃと話し、
将来は子供たちの教育に尽くしたいと、
熱く語っていたのを思い出しました。


◆2月10日
/シャウエン

フェズからシャウエンへ。
シャウエンは、
モロッコの北にある青い街。
シャウエンが注目されるようになったのは
10年ほど前のこと。
このいかにもフォトジェニックな風景は、
スペインを追われたユダヤ人が、
ユダヤ教のイメージカラーである青に、
街を染上げたのが始まりとされています。
青い街・シャウエン。
旧市街の街の中に一歩足を踏み込むと
不思議な異次元の空間に
迷い込んだような錯覚を覚えます。


◆2月11日
/ジブラルタル

ジブラルタル海峡を経て
イギリス領ジブラルタルへ。
アフリカからヨーロッパ大陸までは14km。
地中海と大西洋を隔てる分水嶺でもある。
海の向こうは北アフリカ・モロッコです。


◆2月12日
/エヴォラ

新型コロナウィルスは、
世界中の人を疑心暗鬼にしている。
リスボンに向かう途中休憩で
バスツアーの先客がいた。
フロントガラスには中国語のツアー名。
--えっ中国人??台湾人?・・
先方も訝しげに見る目が気になったのだろう、
男の人が近寄って来て
--Japanese?訊き、
そうだと言うと、笑いながら
--台湾!と言った。
僕らも台湾人だから安心しろ、
というわけだろう。
今の時期、中国人には、
あまり近寄って欲しくないよな、
というのが本音でしょう。

その後は、エヴォラ、そしてポルトガルの首都リスボンへ。


◆2月13日
/ロカ岬~リスボン

ここに地果て、
海始まる--
ポルトガルの著名な詩人の一節。
ユーラシア大陸最西端、
ロカ岬--。
大航海時代以前は、
ここが陸の終わりで、
地球の果てと考えられていました。
そんな風に考えると
海の向こうに
境界のない
涯てしなく広がる無限境地の世界が
見えてくる。
切り立った崖に
寄せては返し、
巌も砕く激しい波。
永久無限の大地の果て。

ポルトガルには、
マゼラン、ヴァスコダ・ガマ、
フランシスコ・ザビエルといった
時代を切り開いた先人たちがいました。
リスボン--。
ここにはそうした、
大航海時代と呼ばれる、
ポルトガル繁栄を偲ばせる
数多くの遺跡があります。


◆2月14日
/オビドス

さらにポルトガルを北上し、
魅惑の小都市オビドスから
大学の街コインブラ、
そしてポルトガル第三の都市ポルトへ。
旅をしながら
歴史のある国はどこを切り取っても
絵になる風景がある、
と感じます。

オビドスは、
谷間の真珠とも呼ばれ、
人口わずか800人ほどの、
城壁に囲まれた中世の村。
あたかも絵本から抜け出したような
エキゾチックで美しい村ですが、
ひっそりとしたこの村も、
観光シーズンともなれば
世界中から大勢の観光客が
押し寄せるという。


◆コインブラ

コインブラ。
世界で最も古い大学、
コインブラ大学がある。
コインブラにはなんといっても
世界でいちばん美しい図書館とも言われる、
コインブラ大学図書館がある。
創設は1724年。
吹き抜けのある重厚な図書館は、
いかにも象牙の塔を彷彿させる
知的でアカデミックな雰囲気に
包まれていました。
ディズニーの映画「美女と野獣」の
ロケ地としても名を馳せ、
一見の価値ありですが、
残念なことに撮影禁止でした。

コロナウィルスは、
世界中でトップニュースになっています。
ポルトガル滞在中も
ワールドニュースのトップで
CORONAVIRUS OUTBREAK
と表示して、
横浜のダイアモンドプリンセス号の映像が流れ
大々的に取り上げられていました。
これを見てさぞかしトランプ大統領、
だから中国は駄目なんだ、
と怒り心頭でしょうね。
中国の武漢を震源地として
世界中に広まる新型コロナウィルス。
こうした問題は初期対応が大事です。
しかし中国は隠蔽体質で
都合の悪いことはひた隠し、
対応の遅れが事態を悪化させた、
といえなくもない。
日本のニュースを検索すると
日本も非常事態らしい。
銀座では店員もマスク着用が義務付けられ、
道行く人も多くの人が
マスクを付けているとか。
一体この問題、どうなるのでしょう。


◆2月15日/
ポルト

歴史遺産の都市・ポルト。
ポルトガル発祥の地とされ、
旧市街を中心に見所が多い。
とりわけドン・ルイス1世橋から見下ろす
旧市街を望む景観は本当に美しいし、
写真の中ほどにある店は、
世界でいちばん美しい本屋といわれ、
ハリー・ポッターの作者・J.K.ローリングは
この店に通い、
インスピレーションを得た、
とも言われています。

この日ツアーの合間に本屋を訪れると、
長い長い行列が。
本を買うのに行列?
と思いながら、
入口で入場料5ユーロを徴収。
螺旋階段が美しく、
書架には興を誘う美しい本が並んで、
確かに世界一かも・・と。
それにしても店内は溢れんばかりの人で、
お店というよりも観光地。
ツアーの仲間とも、
本の売り上げより入場料だね。
入場料はコストなしの純利益だから、
と話していました。

【完】