ドイツ紀行①/ローテンブルク

3つの名城と美しい街を巡る
ドイツロマンチック街道

旅の案内には、
こうした金科玉条の
美しい文言が並べられて
旅心を誘う。
6日間という
短いツアーでしたが、
1週間丸々は休めないよ、
との連れの声に見合っていた。
実はドイツは、
新婚旅行の候補地で、
スイスにするかドイツにするか、
との選択肢の狭間で、
私は絶対にスイス!
との声に押し切られてしまった。
そんなこともあって、
頭の片隅にはいつも
ドイツの風景が浮かんでは消えていたが、
あろうことか連れは、
8年ほど前に娘とともに
ドイツのクリスマーケットに行ってしまった。
そんなわけで小生は、
ドイツに行くことをためらい、
二の足を踏んだ。
行きたいけど勿体ないか・・。
そんなとき、
このツアーが目に飛び込んだ。
6日間と短期間で、
コース内容もそれほど被らないし、
なによりも安い。
某ツアー会社の企画で、
二度目ならこの内容で納得か、
と参加することにした。

6月7日(水)、成田発。
仕事を終えて車を走らせて2時間、
22時20分発のフライトに間に合わせた。
ドイツ到着後は、
フランクフルトを起点に、
ロマンチック街道を走り、
中世の小都市を巡りながら南下して、
ノイシュバンシュタイン城を訪ねた。
その後、別ルートを北上し、
古城街道を巡りながら
フランクフルトに戻る
というコースを辿った。

旅の原価計算は、
航空券とホテル、
それに料理で成り立っている。
今回のツアーは、
ホテルも料理も、
この料金ならこのグレードだろう、
と思わせる内容だったが、
その中でもなるほど、
と納得させることがあった。
往路も復路もカタール航空。
カタール航空は、
成長著しい中東系航空会社の
中でも急成長。
最近、半官半民から
国営企業として再出発し、
国が国策として後押ししている。
787やA380などの新機材を導入し、
機内装備はAグレード。
機内サービスも、
食事もまずまずで、
業界のトップクラスを目指している。
航空会社の評価も
5つ星ではあるが、
中東を経由するため南回り。
旅程表が届いた途端、
ビックリしてしまった。
ドーハでの4時間の
トランジットを挟んで
フランクフルトまで22時間。
直行便なら12時間ほど。
そりゃないだろうと思いましたが、
それを裏付ける理由を目にした。
中継地となるドーハでは
同じツアー会社のグループに
いくつも出くわし、
スイスや中欧、
フランスなどに散って行った。
ドーハ経由のカタール航空は、
このツアー会社がほぼ独占状態。
会社同士で提携を結んで、
ツアー料金も低く抑えているのだろう。

◇中世の小都市
◆6月8日(木)
そんなわけで
フランクフルトを経由し、
ローテンブルクに着く頃は、
陽が傾きかける6時を回っていた。
その後は観光。
弾丸ツアーじゃあるまいし、
時間との勝負になって、
添乗員さんの顔にも焦りの色が見える。
ホテルも城壁内ではなく、
城門から徒歩15分ほどの
家族経営の小さなホテル。
添乗員さんの案内で足早に城内を観光し、
隙間時間を利用して買い物をして、
その後は夕食。
駆け足の観光で、
もっとゆっくり見たかったのに、
との不満が残った。
ドイツ紀行の先行きに、
ほんの少し暗い影を落とした。

しかしその後は、
旅は思いのほか順調に進んだ。
添乗員さんは、
30歳手前の若い女性で、
テキパキとこなし、
案内もこなれて笑顔をふりまき、
一生懸命、旅の案内人を務めていた。
ツアー参加は27人で、
定員のほぼ上限。
添乗員さんのノートには、
びっしりとガイドの内容が書き込まれ、
自前のイラストも目にした。
旅の途中で
この添乗員さんと話したが、
就職した後に添乗員になろうと決心し、
資格をとったという。
添乗員になって7年。
根っから仕事が好きなのだろう、
頑張れば、
それがお客さんの声になって
返ってきますから、
と話していた。
そうなのだろう。
それは舞台の魅力にも似て、
客の前で演じることで、
お客さんの顔や反応が見える。
最初はみなさんおとなしくてどうなるかな、
と思っていましたが、
みんなの笑顔が見えるようになって
それが嬉しかったと話す。
好きな仕事をして、
その反応や成果が見える。
仕事をする人間として、
それに勝る幸せはないだろう。

◆ローテンブルク
中世の小都市。
ロマンチック街道で
ノイシュバンシュタイン城とともに
高い人気を誇る。
ローテンブルクは13世紀以降、
商業が栄えてきたが、
17世紀の30年戦争で痛手を負い、
衰退して忘れ去られていった。
しかし古い街並みが
画家の手で描かれたことをきっかけに
広く世界に知られるようになったが、
第二次大戦で街の4割を焼失。
それでも住人の努力で
中世の美しい街並みを取り戻した。

ドイツを思い浮かべるとき、
いつもこの街が浮かんだ。
小さいけれど
キラリと光る中世の美しい都市。
そんな姿を思い浮かべていた。
しかし残念なことに
街を十分に見るほどの時間がなく、
ローテンブルクの魅力を知り尽くすには
時間が足りなかった。
城壁に囲まれた中世の都市。
見学したマルクト広場や市庁舎、
ローテンブルクの定番である
プレーンラインだけでなく、
城壁の上を歩き、
市庁舎の展望台から街を見下ろせば、
ローテンブルクに来たな、
との実感が沸いて、
この街をより身近に、
魅力的な町として感じたことだろう。

ローテンブルク

2018.12.21