◆エジンバラの歴史
さてもさてもエジンバラ。
かつてはスコットランドの首都であり、
イギリス金融界の中心地でもある。
人口は50万人ほどで、
それほど大きくはないが、
重厚で魅惑的な都市。
けれど、スコットランドの印象は薄い。
あえていえば、
17世紀初頭に、
イングランドの女王エリザベスが、
スコットランド王に王位を継承した、
ということくらいか。
エリザベスは女王であり、
王位継承のゴタゴタを避けるために、
生涯独身を貫いた。
その当時、誰に王位を継ぐか、
との点で諸々の案があったが、
結局はスコットランド王に王位を継承した。
イングランドとスコットランドは、
これまで幾度となく戦争を繰り返し、
お互いの確執は有名。
スコットランドは、
イギリス本土の北側にあって
独自の文化をもち領土への愛着も強い。
そこにエリザベスが、
王というニンジンをぶら下げて王位を譲ると、
リチャード3世はその後、
エジンバラに戻ることなく
衰亡の一途を辿ることになる。
それこそがエリザベスの狙いで、
イングランドは事実上、
無血でスコットランドを
併合することになった。
この確執は今も続き、
スコットランドの自立心は強い。
先頃、スコットランドの独立は是か非か、
との国民投票が行われたが、
僅差で否決――。
スコットランドにガス油田があるが、
その利権がイングランド圏に
大きく雪崩れ込んで、
それが面白くない。
スコットランドは独自の文化をもち、
国の生い立ちも違う。
それなら独立を!となったが、
スコットランド人の中でも
是々非々の議論があって、
イギリスにとどまるべし、
との意見が強かったようです。
しかし一昨年の国民投票では、
EU離脱が決定。
実行は2019年3月29日で
5ヶ月後に迫る。
しかしスコットランドは、
EUを抜けるべからず、
との意見が強いとされ、
再びイギリス分裂の動きが、
現実味を帯びてくる。
そうなれば、
ユニオンジャックは消えるのだろうか。

◆エジンバラの逸話
ガイドさんによると、
18世紀のエジンバラは、
経済の中心地として飛躍的な成長を遂げ、
それに伴って人口が急激に膨張。
狭い部屋の中に
溢れんばかりの人が押し込められ、
ステータスの高い人たちは、
建物の上へ上へと移り住んで、
反対に低階層の人たちは、
地下へ地下へと潜り込み、
どんどん地下深い所で
生活をするようになった。
部屋の中に光が射すことはなく、
下水もない。
汚物が建物の上から投げ捨てられ、
それが地下へと浸透して、
きわめて不衛生な状態になる。
やがてペストが発生し、
それが広まることを恐れた役人は、
地下室の入口を閉鎖してしまったという。
いわば住民は生き埋め状態になったわけで
最近になって、
そんな風にして閉ざされた、
地下室の入口が発見された。
入口には献花が絶えないという。
エジンバラにも悲しい歴史があった、
ということです。

◆5月17日(日)
/エジンバラ市内
エジンバラの町は、
期待以上の光景が広がっていました。
エジンバラ市街は、
新市街・旧市街ともに世界遺産で、
エジンバラ城はもとより、
イギリス王のもう一つの居城、
ホリールード宮殿など、
市内には見所が多く、
全てに見ごたえがあります。
荘厳で、重厚、そして優美。
エジンバラ城に至る石畳や、
石造りの家並みなど、
街全体に深い歴史が刻まれて、
スコットランド此処にあり!
との気概を感じました。
一番の見所、
エジンバラ城は、
イギリス最古の古城。
切り立った崖の上にそそり立ち、
三方は崖に囲まれている。
堅牢な城としても有名で、
繰り返された戦争の歴史で
一度も落城したことがないという。
これまでヨーロッパの都市を
いくつも見てきましたが、
歴史を物語る都市の景観としては、
エジンバラは最も風格を感じました。

2018.10.17