南フランスへ③/パリ

旅の締めはパリ観光――。
パリのツアーには、
ヴェルサイユ宮殿とルーヴル美術館が
当たり前のように付いてくる。
今回が3度目で、
どうしようかと迷ったが、
同行することにした。
しかしそれが良かった。
現地のガイドさんも色々。
個性豊かな人がいて、
ヴェルサイユを案内した現地ガイドさんは、
ルイ14世から16世の
フランス王朝の華やかりし時代の
歴史絵巻を講談風仕立てで
面白くおかしく紹介してくれた。
ルーヴルを案内したガイドさんは、
芸術史に造詣が深く、
ルーヴルのうんちくのある話をしてくれた。
ルーヴルは美術館であり、
元は宮殿だったという。
1ヶ月前にオープンしたばかりだという
館内の裏側を案内し、
かつてはここが宮殿だったことを偲ばせる
素晴らしい部屋や宝物を見せてくれた。

ヴェルサイユ宮殿

ヴェルサイユを案内した
面白いガイドさん

 

ルーヴル美術館
宮殿だった館内

ルーブルのレストラン
ルーブルからセーヌ河をのぞむ
パリオペラ座

オペラ座の前で
オペラ座から市内をのぞむ

さて旅の思い出を。
今回のツアーは12人。
参加人数が多くなると
一度も話すことなく終わってしまう人がいるが
少人数ということもあり、
一度は話をしてみようと決めた。
参加した人は新婚さん二組に、
若い女性同士、
もうすぐ80歳に手が届くという老婦人に娘、
そして夫婦二組の12人という組み合わせ。
バラエティに富んだ旅の話や、
なれ初めやら、
普段の生活ぶりなど
色々な人がいるもんだと感じた。

新婚さんの一組はさいたま市出身。
もうすぐ40歳になるらしい旦那さんに、
8歳年下の奥さん。
旦那さんは小柄で、
人の好さそうな優しい感じで
眼鏡をかけ、
いつもティーシャツに赤い帽子を被っていた。
奥さんは彼に少し不釣り合いなほど
可愛らしい人で、
彼女が可愛くて仕方ないのだろう。
旅の最後の夜は、
セーヌ河のディナークルーズに出かけ、
飛行機は一生に一度だからと
ビジネスクラスに乗り込んだ。
ディナークルーズは最高だったという。
パリは夜景が美しい。
ライトアップされたルーヴルや、
シャンゼリゼ通り、
そしてエッフェル塔のイルミネーションが
ロマンチックで、
夜景が彩る音楽が流れて、
美味しい食事。
それで一人2万円ほど。
奥さんを目いっぱい楽しませたい、
との心づくしだろう。
職場結婚ではないが同じ会社だという。
――共稼ぎなんだから
家事の分担もしなくちゃね、
と話したが、
――料理はするの、と訊くと、
――駄目です、
と手を横に振ると、
その横で奥さんが、
――でも皿洗いをしてくれるんですよ、
と言いながら、
その恰好がアライグマのようだと笑っていた。
食事の後はいつも
二人並んで後片付けをしているらしい。
新婚さんの微笑ましい姿が目に浮かんだ。

ツアーで男同士は見たことがないが、
女性同士は珍しくない。
このときの二人は看護師さん。
同期生で都内の某小児科病院に勤めていたが、
ひとりが郷里に帰り、
その後も病院勤務をしている。
旅行が大好きという二人は、
時期を合わせて一緒に海外旅行をして、
それが楽しみだという。
聞けば聞くほど色々な所を旅している。
パリは3度目で、
イタリアも好きで3回行ったといい、
――どこが一番良かったの、と訊くと、
――プラハが印象的だった、と話し、
――そんなこと話したら歳がばれちゃいますよね、
とケラケラ笑っていた。
とてもチャーミングな女性で、
どうして結婚しないのか不思議なくらい。
兄も結婚していないという。
まさか順番待ちをしているわけでもないだろう。
有名な小児科病院で、
その中に内科や外科などに分かれて、
――私は外科が好き、と言い、
  みんな元気になって帰っていくから、
と話していた。
子供が大好き。
退院する子供たちの、
元気な後ろ姿に励まされて
仕事をしているのだろう。

母と娘と言っても、
母親は翌年80歳になるというが、
かくしゃくとして、
とてもそんな歳には見えない。
子供たちが順番に母親を連れて
旅行をしているらしい。
先が短いからといい、
元気なうちに行ける所にと話す。
同伴する女性は娘。
品のいい賢そうなご婦人で、
パリに友人がいるので、
ツアー最後に2日延泊して友人に会うという。
翌月はご主人と
12日間の中央ヨーロッパの旅。
――羨ましい、と話すと、
――2ヶ月続けて行くのは大変よ、
と話していたが、
それでも行けるのは凄い。
(南フランス 完)

2018.10.12