中世の古都 ブルージュ。
ヨーロッパの中世都市は、
広場を中心に発展してきた。
イタリアのミラノは、
400年の歳月をかけて創建された
ドゥーモがあり、
その前に大広場があって、
これを中心に町は発展した。
イタリアの人たちにとって
教会は心の拠り所。
深い信仰心とともに人々の暮らしがあった。
ベルギーも然り。
ブリュッセルのグランプラス、
ブルージュのマルクト広場など、
町の中心に広場があり、
これを中心に町が放射状に広がっている。
しかし、広場の中心にあるのは、
必ずしも教会ではなく、
グランプラスには市庁舎ができて、
それを取り囲むようにギルドハウスが造られた。
ギルドハウスは中世の職業別組合で、
世界史の教科書にも登場していた。
当初は商業ギルドが作られ、
互いに申し合わせて独占的利権を得ていたが、
やがてこれに対抗して、
中小の商工業者もギルドを結社し、
グランプラスに集結した。
それがまた中世のベルギーの都市の発展を支えた。
この日、訪れたのはブルージュ。
水の都――。
中世の町並みを、
今に残す美しい古都で、
この魅力は訪れた人にしかわからない。
今までヨーロッパの美しい古都を見てきたが、
ウィーン、プラハ、パリなど、
それぞれが中世の美しい佇まいを残している。
しかしヨーロッパの国々は、
二度の大戦で、
古都の多くはその名残をとどめることなく、
戦災で焼失した。
しかしブルージュは戦災を逃れて、
中世の姿のまま美しい町並みを残している。
町の中心はマルクト広場。
町の中にはいくつもの運河が張り巡らされ、
船に乗って運河を巡ると、
その美しい町並みをじっくり見ることができた。
ため息の出るような美しい姿をとどめ、
レンガ造りの建物は、
世界遺産の威厳とともに
往時の姿を蘇らせて、
さらに魅力的な町に変貌している。

ブルージュを案内したのは、
ベルギー人の男性。
この人がメッチャ面白い人だった。
小さい頃から京都に住んでいたといい、
奥さんは日本人だった・・。
だった、と過去形になっているのは、
奥さんに逃げられたから。
――男作って逃げただよぉ~、許せない!
とちょっぴり怒りをあらわにして、
最初から最後までひとり漫才を繰り広げていた。
お陰で愉しかった。
ブルージュの美しい町並みとともに、
この愉快なガイドさんの顔を
思い浮かべることができます。
フリータイムでは、
マルクト広場を中心に
チョコレート店や小物店めぐりをしたが、
いちばん印象的だったのは、
あるカフェのチョコレートドリンク。
両親が超美味しいチョコレ―ト店を営み、
娘夫婦がカフェを経営している。
この店のチョコレートドリンクが、
最高に美味しかった。
もともとチョコレートが美味しい上に、
熱いチョコドリンクにチョコレートが添えられ、
その中に落とし込む。
舌触りが滑らかで、
芳醇な味と香り。
この店でしか味うことのできない絶妙の味。
この店はチョコレート店の真正面にあって、
ツアー仲間のひとりが、
NHKでも紹介されたという。
それを聴いてしばし店の前で佇み、
入ろうかどうしようかと迷ったが、
意を決して飛び込んだ。
メニューにはそれらしい飲み物の名前があり、
これを注文したが、
あたり!
とにかく美味しかった。(完)

2018.9.20