美食の国、ベルギー-
旅の愉しみの中に、
食の愉しみがある。
ヨーロッパの美食の国と言えば、
フランス、イタリア、スペイン辺りだろうか。
しかし、このとき訪れたベルギーも
負けてはいない。
フランスに隣接しているせいか、
北フランスの食の影響を受けて
美食家を唸らせる国でもある。
ベルギーを代表する食に、
チョコレートと、ビールと、ワッフル。
なんか愉しい。
みんな大好き。
みんな美味しい。
気軽に愉しめて手軽に美味しい。
だから、この食の愉しみを満喫しようと、
舌鼓を打ちながらベルギーを訪ねました。
↓ゲント 城塞都市
◇チョコレ―ト
言わずと知れたチョコの国。
フランスやスイスとともに、
美味しいチョコがたくさんある。
しかも、高級チョコがイチオシだ。
だから予習もしたが、
店の数がたくさんあって絞りこめなかった。
ベルギーチョコの象徴的な存在として
ゴディバがある。
お馴染みのGODIVA―――。
チョコの世界的なブランドで、
時折りお世話になっている。
けれど高い。
現地で買えば半値ほどで買えるというが、
あえてその愚を辿らない。
日本で食べられるのに、
なにもベルギーに行ってまで食べることはない。
現地でしか味わえないもの、
現地でこそ愉しめるもの。
それを食べたい。
ベルギーチョコの本拠地は、
ブリュッセルとブルージュ。
ベルギーの有名ブランドもあるが、
とにかく多い。
チョコの専門店もたくさんあって、
軒を連ねているといってもよいほど。
それも有名店ではなく、
家族経営の小さな店だって十分に美味しい。
ブリュッセルにあるだけの店や、
ブルージュに専門店を構える店。
これらを全部、食することはできないが、
歩いているとガイドブックで紹介されている店が、
あちらにもこちらにもある。
ベルギーチョコは、
上質のカカオに色々な味がペーストされて、
その組合せが絶妙。
これをプラネリというらしい。
ブルージュでは、
ベルギー人のガイドさんに案内されながら、
徒歩で観光し、
最後にこの店がおススメですよ!
と教えられてその店で買った。
これがイケた。
日本だってチョコは美味しいよと思うが、
ベルギーはひと味違う。
高級カカオが上品で美味しく、
AAAのレベル。
日本に帰国して
買い込んだチョコを食べ較べたが、
失敗した!!
こんなに美味しいなら
もっと買ってくるんだった!
◇ベルギービール
食の愉しみは食べること、
そして飲むこと。
ヨーロッパはワインの宝庫。
とりわけフランス、イタリア、スペインは、
美味しい食事に美味しいワイン。
それがあって、
食前酒として愉しむことになる。
けれどベルギーは少し勝手が違う。
ベルギーにはベルギービールがあって、
世界的に有名。
ブルージュやブリュッセルなどには、
ビール専門のボトルショップがあって、
中を覗けば1000種類以上のビールが並んで、
それが実に壮観。
ベルギーにワインはない。
あるにはあるが貧弱。
ベルギーでビールが好まれるのは、
気候の影響がある。
ワイン用の葡萄は、
太陽の光を浴びてこそ上質のワインができる。
だから北に行くほど葡萄はできにくく、
必然的に食卓に並ぶのは、
ビールが主流になる。
同じようにドイツやチェコも、
ワインよりビールという事情が、
その辺りにありそうだ。
ベルギービールには、
日本のような633mℓの大瓶はなく、
330mℓの小瓶で、
瓶の形もさまざま。
それぞれの銘柄に専用のグラスがあって、
それがとてもおしゃれ。
そのグラスで飲むのがベルギー流で、
ビールを美味しく飲むにはこれに限る。
心底から食を愉しむには、
そうした風流や雰囲気も大切だろう。
ベルギー滞在中は、
毎食、このビールの馳走に預かった。
◇ワッフル
ワッフルは小麦に、
良質のカカオバターや、
鶏卵、牛乳を混ぜて発酵させ、
それを焼いて、
その上に好みに応じて
色々な味をトッピングする。
ある種の焼き菓子だが、
カタチは蜂の巣のようなもの。
ワッフルの超有名店、
DANDOYで食した。
これが、旨い!
なかなか美味。
サクサクして軽い口当たり、
そして香ばしい。
なるほどコレがあの有名な
ベルギーワッフルかと思った。
当然のことワッフルの二つの味を愉しみ、
味比べするしかない。
リェージュ風ワッフルが食べられる店に出向いた。
ハーゲンダッツ。
日本では店内でお召し上がりのスタイルは撤退したが、
ベルギーでは健在。
時間もないので慌てて買って、
待ち合わせのグランプラスで立ち食いした。
もちもちモッチリの食感で、
美味しくて食べごたえもある。
こちらを好む人も多いだろう。
残念ながらお持ち帰りに適さない。
現地でしか食べられません。

◇首都、ブリュッセル――
ブリュッセルを代表する風景として、
グランプラスがある。
そこでは2年に一度、
花の絨毯が広場一面に広げられ、
花の祭典が行われる。
それが美しい。
この広場には、
歴史の栄華を刻む煌びやかな世界がある。
それも王侯貴族ではなく、
商人や市民が叡智を競いながら
生活を営んできた場所、
それがこの広場の風景でもある。
グランプラスとともに、
ブリュッセルを象徴するものに小便小僧がある。
シンガポールのマーライオン、
デンマークの人魚姫とともに、
世界三大がっかり遺跡とされているが、
そんなことはない。
それなりに存在感を示して、
ブリュッセルの風景に彩を添えている。
小便小僧は市の中心地、
グランプラスから近い通りにあり、
裸じゃ寒かろうと服も着替えて、
日本から服が提供されたこともある。
このグランプラスがライトアップされて、
見ごたえがあるというので、
日没後の9時半、
これを見るためにホテルから歩いて見物した。
徒歩約10分。
その途中、狭い路地の繁華街を通ったが、
その風景はまさに夜のカフェテラス。
昼でも、夜でも、
通りにテーブルを並べて、
食べて、そして飲むことが大好き。
このときもテーブルが道路に迫り出して並べられ、
昼間の風景とは全く違う雰囲気を
醸し出していました。
これがヨーロッパの夜の過ごし方。
そんな異国の文化を見るのも愉しい。

ブリュッセルの見所のひとつは、
その夜のホテル。
メトロポールといい、
アール・ヌーヴォ様式で有名なホテル。
アール・ヌーヴォは、
19世紀から20世紀初頭に流行した芸術運動で、
新しい芸術表現の潮流。
贅を凝らした装飾が特徴で、
その後は退廃的とされて廃れてしまったが、
目の前で見ると素晴らしい。
グランプラスとともに、
ブリュッセルを彩る文化遺産といえるでしょう。

2018.9.14