ハレクラニ-Ⅳ/旅のエッセンス

セレブな日々を送ると、
日本に帰るのが嫌になる。
そのときの現実に引き戻される感覚は辛いが、
それでも旅はやめられない。
半ば中毒のように
旅から旅への日々を過したいとも思う。
旅の醍醐味はなんといっても非日常の体験。
日本にいて当たり前の日々を過しているだけでは
経験できない時間。
色々なものを見て刺激を受けることで、
感性を磨き知見を広め、
自分の中に新たな世界を拡げることができる。

そんな体験の一つに、
ハレクラニのオーキッズがある。
オーキッズは、これぞハワイ!という匂いがする。
ハワイには持ち味の違うレストランがあるが、
オーキッズの朝食が忘れられない。
海に面したテラス席で、
朝の陽射しをあびながら朝食をとる。
テラス席には白いテーブルクロスの上に
オーキッズ特製のメニューが並ぶ。
空はどこまでも澄んで、
目の前は真っ青な海、
そして青々とした芝生が広がり、
朝のさわやかな風がほほを撫でる。

こんな心地よさがたまらない。
朝食のあとはビーチを散策する。
ハレクラニの前の海岸を通り、
ロイヤルハワイアンズから
ワイキキビーチを抜ける散策路。
ワイキキに近づけば、
ダイアモンドヘッドが目の前にある。
この風景も捨てがたい。
その後は市内観光。
ハワイを知るために少しは見ておかなくちゃ、
とトロリーを利用して市内を巡る。
テーマはハワイの歴史。
その中にカメハメハ大王による
ハワイ王国の建国があり、
その象徴となるのが、
カメハメハの銅像とイオラニ宮殿。
宮殿内は撮影はできないが、
見ごたえがあった。
イオラニ宮殿は合衆国にある唯一の宮殿。
建造されたのは日本の明治初頭。
それにしては立派で、
木造の建物でありながら風格があり、
あの時代に電気が引かれ、
エレベーターがあり、
水洗トイレもありました。

市内観光を早々と切り上げて
午後はハレクラニのプールで過ごす。
ホテルのプールサイドはとても気持ちがいい。
極上の時間、至福の瞬間。
プールサイドには、
映画で目にするガーデンベッドが並んで、
思い思いの時間を過ごす。
とりわけハレクラニは上質の時間を提供してくれた。
日本から持ち込んだiPodを聴きながら
ガーデンベッドに身を沈め、
真っ青な空を見あげる。
心地よい風がプールサイドを吹きぬけて、
なんともいえない癒しの時間が過ぎる。
時計の針が止まったように、
緩やかに流れてゆく時間。
欧米人の休暇の過ごし方には、
そんなものがある。

ハレクラニのプールサイド

オーストラリアに行ったとき、
現地のガイドさんは、
日本人との国民性の違いを熱く語っていましたが、
その違いこそこの国の魅力と言いたげで、
それが印象的でした。
オーストラリアは決して豊かではない。
20年ほど前、年収は日本人の半分ほど。
車の大半は日本車で、
若い人は日本車の中古に憧れる。
生活を愉しむことがステータスで、
彼らの人生の目標はここにある。
夏になれば早朝からジョギングしてひと泳ぎ。
夕方は終業ベルとともに家路を急ぐ。
夏のイベントはBBQ。
家族との団欒がいちばんで、
仕事が人生の目的ではないとばかりに、
平日でも余暇を愉しむ。
生活にゆとりができれば新車を買い、
海を臨む一軒家を買うことが、
人生最大の目標になる。
家の購入費は日本に較べれば安い。
海の近くの眺めが良い所ほど高く、
家を買えば、
ヨットを買うことが、
人生の目標としてランクアップする。
それが必ずしも
望ましいあり方ではないかも知れない。
人によってはひんしゅくを買うだろう。
けれど、日本人と欧米人やオーストラリア人との
人生に対する価値観の違いは大きい。
ハワイ――。
世界屈指のリゾート地で
観光客の多くを日本人が占め、
時間を惜しむように気忙しく過ごす。
僕もその一人だから人のことは言えないが、
どこか違うなと思う。
欧米人はリゾート地で観光はしない。
美味しいものを食べて、
ホテルのプールサイドで
日がな一日ゆったりと過ごし、
気が向けば散策する。
ハレクラニのプールサイドにも
欧米人のそんな姿がありました。
それを見ながら、
やっぱり違うなと感じていました。
ゆったりと流れる時間に
欧米人のライフスタイルが垣間見えて、
人生に対する価値観の違いを
感じるひとときでした。

海のある風景。
世界にはモルディブ、
プーケット、タヒチなど
美しい海があるが、
ハワイの海にも違った美しさがある。
時々刻々と変わる海の色。
それは陽の光によって微妙に変化し、
そんなワイキキの海が美しい。
その日、買い物に行こうとビーチに向かった。
その帰り道、娘はこの海を見せたかったのだろう。
ハレクラニまで一時間ほど歩いたが、
そのときの海が素晴らしくきれいだった。

通りの左側は、白いビーチや芝生、
右側には、緑豊かな木立が広がって、
その風景を見ながら歩くのは、
とても気持ち良かった。
夕方、再び同じ場所を訪れて、
ビーチに面したレストランで食事をした。
娘は以前来たことがあってお気に入りの店らしい。
その日は土曜日。
夕陽を見ながら早めにディナーを終えて、
ロイヤルハワイアンの近くの喫茶店で
お茶する予定だった。
土曜の夜はホテルから花火が打ち上げられ、
沈みゆく夕陽を眺めながら花火を見物。
至れり尽くせりの夜を過ごすつもりだったが、
予期せぬこともある。
タクシーが来ない。
やむなくそのままこの店でティータイムを兼ねたが、
こんな風にして、
旅のエッセンスを演出をしてくれた。
それが仕事を通じて学んだやり方で、
愉しい時間を過ごすことができました。

旅の仕上げは、
ダイアモンドヘッドから望む日の出と、
モアナ・サーフライダーのアフタヌーン・ティー。
この日は帰国の日。
長女はひと足先にホテルを発って日本へ。
こちらは7時の日の出に合せて
ツアー専用のバスで6時に出発。
真っ暗な中、駐車場から山頂を目指して
30分ほど山登り。
6時半。
山頂の狭いスペースには
大勢の人が日の出の瞬間を待つ。
常夏の島とはいえ夜明け前は肌寒い。
眼下の夜景を見てご来光の瞬間を待ちました。

ダイヤモンド山頂からの日の出
ダイヤモンドヘッドから望む
モアナサーフライダーのエントランス
モアナサーフライダーで
アフタヌーンティー

2018.8.13