最初の夜は、
ウィズ・アウト・キーという
ホテル内のレストランで食事。
此処では毎夕、
フラダンスやハワイアン音楽のショーが行われ、
ハワイにいることを実感させてくれる。
旅の愉しみといえば、
食の愉しみは外せない。
とりわけ、その土地でしか食べられない
旨いものに出会うとき、
至福の時間をもたらしてくれる。
しかしハワイは勝手が違う。
ハワイはアメリカで、
食通を唸らせる旨いものが
少ないんじゃないかと思っていたが、
それが違った。
ハワイの料理はワールドワイド。
アメリカンというよりも、
世界の料理が渾然一体として、
いいとこどりの旨いものが揃っていた。
この旅行でも旨いものに出会った。
その分、食事にお金をかけた。
せっかくのオフを愉しまなきゃ!とばかりに、
旨いものを巡るプチ旅行に励んだ。
その一方で、
アメリカにはやっかいなルールがあり、
面倒な作法がある。
それはチップ。
日本人にこの習慣は馴染まない。
そればかりでなく
頭を悩ませる事態に発展することもある。
その点、娘は馴れている。
だから支払いはお任せだった。
料理を食べ終われば、
請求書がテーブルに差し出される。
料理代金にハワイ州税。
これはわかる。
カナダほど複雑ではない。
しかし、請求書の末尾にある、
空欄のサービス料が厄介。
ハワイでは高級料理店なら
15%~20%が普通で、
それを自己申告で書き込んでいく。
どうこれくらいで、
と金額を示すと、
娘はしばし考えて金額を書き込む。
こちらが考えた額よりも多くて
20%を越えている。
少し多すぎねぇ!と言うと、
これでいいよと事もなげに言う。
気前がいい。
チップは気分次第で、
快いサービスを受ければその分を弾むが、
フランスだってチップは5~10%が相場。
いくらスマートに払えと言われても、
これでいいんだろうかと思ってしまう。
だから時折思う。
アメリカ人が日本に来ても、
どんな高級レストランだって
基本的にチップは不要。
明朗会計で簡単明瞭。
そんな日本が羨ましくはないんだろうか、と。
二日目。
アラモアナセンターの中の
マリポサというレストランでのこと。
娘が予約をしてくれた。
コース料理を食べて
テーブルに請求書が置かれた。
そのとき娘はいない。
先達の師の手本をもとに
サービス料を書き込んで
それを入口のレジに持ち込んだ。
レジに並んでいた先客の日本人が、
No、No!と言われながら
精算書の書き方を指導されていた。
やがて立ち去ってこちらの番。
請求書の記入に不備はない。
そしてレシートがほしいというと、
若い女性は明細をそのまま差し出した。
店に控えはない。
いくら客が支払ったか証明するものがなく
それで大丈夫なんだろうかと心配になった。
チップは給料の一部。

サービスの質によっても金額が増減する。
だから、ウェイターはニコニコして、
おいしいですか!と日本語で話しかけ、
必要以上に愛想がいい。
これもサービスのひとつで、
その笑顔が収入を増やすコツになる。
支払いをもっとスマートにやるなら、
請求書の間に料金とチップを挟み込んで、
テーブルの上に置けばよかったのかなと思う。
そんな風にして支払いをした店もあって、
そこのところがよくわからない。
ホテルのレストランでは、
ウェイターの愛想がいい。
それにもまして、
ハワイの小鳥は人馴れしている。
近寄っても平気だ。
あんまりのんびりしてると食べちゃうぞ!
と脅したが、
日本語が通じないらしい。
その一方でハワイの州法では、
小鳥に餌を与えてはいけないという。
過剰繁殖が怖いらしい。
鳩が増えすぎて困っているとの話もある。
そんなところは浅草の浅草寺に似ている。
とにかく人懐っこいというか、
人間さまの世界に入り込んで
当たり前のように食探しをする。
職探しではない。




2018.8.8