台湾紀行-4/台南~高雄

3日目と4日目は台湾南部へ。
この日のガイドさんは年配のご婦人。
しかし朝から顔色が冴えない。
ふたつめのホテルに近づくと
バスを降りて急に走り出す。
この日は台北から新幹線で台中へ。
けれど、そんなに慌てる必要もないのに、
と思いながら待っていると、
10人ほど息をきらせてバスに乗り込んできた。
――ガイドさんが、急いで!
       というので慌てて走ったわよ。
女性客がいう。
スーツケースを転がして走るのは、
さぞかし大変だったろう。
彼らはわけもわからず走らさられた人たち。
バスが走り出すと
大通りを大勢のランナーが走っている。
あっこれだ。
その日はお日柄もよく、
台北市内ではマラソン大会があるらしい。
――あぁ信じられない!どうしよう、
とガイドさんが叫ぶ。
マラソンの行列を遠めに見て
やがてバスは、
大通りの下を潜って通りの反対側へ。
なんのことはない、
事なきを得て新幹線に間に合った。
――マラソンのことは知ってたわよ。
  でもどこからどこまでとは、
  言わないんだもん。
台湾ご婦人はイラッとして、
当局に不満をぶつける。
まぁいずれにせよ旅の愉しみは意外性。
なにごとも予定通り、
ハプニングなしのご無事では、
面白くないではないか。
なにかしら意外性の展開があって、
新しい発見があり、
だから旅は面白い。

そして台北発の新幹線。
これも日本の技術。
日本の鉄道技術は、
台湾でも高い評価を受けている。
台湾は狭い国。
台北から南の端の高雄まで3時間ほど。
新幹線ができたとき
押すな押すなの行列ができて、
国内便は閑古鳥が鳴いたそうな。
勿論、空を飛ぶ方が早い。
でも乗換の時間やら何やらを足すと
新幹線の方が早いですよ、
との話のとおり、
台湾の航空会社が1社、
新幹線との競争に負けて廃業したそうだ。
新幹線、恐るべし!

宝覚寺

市内から日月譚へ。
風光明媚な湖岸の風景がのぞめるという。
しかしその日はあいにくの曇り空。
眺める景色もすっきりしない。
なんと言っても面白かったのは、
粘土像らしき像のパフォーマンス。
このイケメンの像は客の顔色を見て動く。
人が来る。
パントマイム風に通り過ぎる人に、
ちょっと見て見て、
という風に肩を叩く。
なんだろうと振り返ると粘土像が立っている。
あぁお金を入れてほしいんだな、
と思ってお札を入れる。
ちょっとのぞく。
少ない??
腕で涙を拭きながらさめざめと泣く。
仕方なさそうに客はまたお札を入れる。
それを見て機嫌を直し、
お連れも誘って肩を組み、
さぁどうぞと写真におさまる。
終われば握手をして粘土像のショーは終わる、
という具合。

日月潭

さらにバスは走り台南へ。
台南では赤崁楼を見学。
台湾は17世紀オランダによって統治され、
赤崁楼はその統治の証として
オランダ人によって築城された城。
とはいっても堅牢な城という様相はなく、
見れば、お寺かなと思う程度。
けれども建築様式が、
中国風とオランダ風が渾然として、
ちょっと異色の建物でした。

赤崁楼

バスはさらに南下して高雄へ。
高雄に着く頃はどっぷりと日が暮れて、
夕方のラッシュアワーで道路が混雑。
高雄での見学の竜虎塔には
7時ちょい前に到着。
竜虎塔は台湾紹介の番組で何度か見た。
竜の口から入って虎の口から出れば、
その人の罪が免罪されるという。
ガイドさんに言われるまま
真っ暗な中で
写真を撮りながら竜の口に向かうと、
目の前で入口が閉まり、
慌てて走りこむ人、
どうしたんだろう、
と思いながら唖然とする人。
こっちは唖然の組で、
取り残されてしまった人。
さっそく取り残され組はガイドさんに抗議。
――7時で閉まりますよと言ってくれれば、
その時間に間に合うように行ったんですよ!というが、
――あらそうだったの、
と聞き流すだけでした。

竜虎塔

2018.7.23