巴里の空の下で-2

3日目、
モンサン・ミッシェル。
パリの西方300kmの、
サン・マロ湾に浮かぶ小島で、
年間300万人の観光客が訪れるフランス最大の観光地。
その魅力はなんといっても、
潮の満ち引きによって浮かぶ神秘的な姿でしょう。

その歴史は8世紀に遡る。
地区の司教が大天使・ミカエルのお告げにより、
この島に礼拝堂を建てたのが始まり。
その後、10世紀にノルマンディ公が修道院を建て、
増改築を繰り返して、
16世紀にほぼ現在の姿になったという。
しかし百年戦争の時代は、
英仏海峡の要塞の役目を果たし、
18世紀末のフランス革命以後は監獄として使用。
20世紀半ば修道院が復元され、
1979年に世界遺産に登録・・。
とまぁこんな具合です。

モンサン・ミッシェルは、
その姿が印象的ですが、
内部はあまり知られていない。
しかし実際に訪れると結構面白い。
島内に入ると清水寺の門前町よろしく、
狭い通路の両側にみやげ物店が並んでいる。
その入口付近には名物のオムレツの店がある。
その日の昼食に島の外のレストランで食べましたが、
ふわふわとして、
頬張ると融けてしまいそうな食感。
しかしそれほど美味しいとは思えない。
名物に美味しいものなし。
経験として一度食べてみるのはよいでしょう。

食事の話のついでに、
前日のランチで、
ちょっとした事件がありました。
ルーアンでの出来事。
名物の鴨料理の予定だった。
レストランに向かい、
まずは確認のため添乗員さんが店に入る。
けれどなかなか出てこない。
なにかあったなとは思ったが、
しばらくして添乗員さんは、
困った顔をして出てきた。
――実は、予定した鴨料理を
別のツアーの人が食べてしまったんです!
やむなく彼らがランチする予定だった店に向った。
事の顛末はこうだった。
我々の鴨料理を食べてしまったのは、
中国人のツアー。
ガイドさんはレストランを勘違いし、
受けたレストランもよく確認もせず、
そのまま食事をした。
レストランは人数が違うのにフリーパス。
中国人と日本人の区別もできなかったらしい・・。
ありえねぇ!
中国人が食べるはずだったレストランも、
まだ来ないのか!と言って待っていたらしい。
本当にありえねぇ!
そのガイドさんも、レストランも、
なんてぇこった!
中国人ツアーにとっては、
さぞかし鴨がねぎしょってやって来たに違いない!
その後、添乗員さんは、
旅行会社の店長さんと交渉したらしい。
――みなさん、そんなにお怒りなのか!?
と言われたと言う。
その言葉にみんなは「うん、うん」と頷く。そして、
――ツアーの最後に鴨料理を出すことになりました、とさ・・

4日目。
ロワール地方の
古城巡りとシャルトル。
ひたすら西進し、
別ルートを辿ってパリへ向かう。
フランスの城は美しい。
幾多の戦争の歴史と
王侯貴族の栄える中世を経ているだけに、
自らの覇権と栄華を誇示するように、
城を美しく着飾る。

この日はロワール地方の
3つの城を巡りましたが、
その中でもシャンポール城は華麗にして優美。
本当に美しい。
しかし城はパリから遠く、
王の狩猟用の城だったため住むには適さず、
周囲に食料を得る手段もない。
同行した2000人分の食べ物を持参する必要があって、
その費用は莫大。
自然に足は遠のいたという。
その後も調度品を揃え、
城を修繕したが、
荒れるに任せた時代もあり、
外見ほどの華麗な歴史はないらしい。

シャンポール城

先行して訪れたのはシュノンソー城。
城内を見学したが意外に質素。
城の敷地は広いものの、
城内は手狭に感じたし、
その後、見学したヴェルサイユ宮殿を思い浮かべると、
その華麗さは比較することもできない。

シュノンソー城

この日、最後に訪れたのはシャルトル。
なんの知識もない歴史遺産でしたが、
大聖堂の威容に圧倒されました。
世界広しといえども、
これほどの数と、
これほど美しいステンドグラスはないと思う。
暗闇の堂内に案内され、
全面に施されたステンドグラスを目にしたが、
それが余りにも眩く、美しい。
建物そのものもフランス国内で
最も美しいゴシック建築とされている。
1979年、世界遺産に登録。

ルーアン大聖堂のステンドグラス

ふと目にした風景。
シャルトルの街に咲くあじさいの花。
季節も6月で、
日本とほぼ同じ時期に咲いていました。
ほんのひとときの憩いのとき・・

ふと目にした風景。 シャルトルの街に咲くあじさいの花。 季節も6月で、 日本とほぼ同じ時期に咲いていました。 ほんのひとときの憩いのとき・・

2018.6.29