遥かなる中央ヨーロッパ-1

中央ヨーロッパの旅。
成田空港で出発を待つ間の
ふわふわした高揚感と、
新しい世界を覗き見る期待感。
そんなものが入り混じって
旅立ちの日を迎えました。
当時は思うように休暇をとることができず、
5年刻みの長期休暇や
盆休みなどの長期休暇を利用した旅でした。
だから当然のこと旅行の頻度は少ない。
行きたくても、行きたいときに
ツアー料金は大幅にUPし、
我が家の財政事情が苦しい。
そんなわけでこのときは
長期休暇を利用して、
中央ヨーロッパへと旅立ちました。

成田発午前の便。
夜も暗いうちに成田までの高速バスに乗り、
のろのろと一般道を走る!
今回の行き先はチェコ、ハンガリー、
オーストリアの中央ヨーロッパ。
そして最初の経由地はプラハ。
プラハはヨーロッパ随一の
古い歴史を持つ都市で、
かつてヨーロッパを席巻した
西ローマ帝国の拠点だった。
そして文豪・カフカが生まれた都市でもある。
彼は高校時代に愛読した作家の一人で、
実存主義文学の草分けともいわれ、
そうした文豪の生まれたところがどんな所か、
それにも興味があった。
2006年7月――。
この年、ザルツブルクとウィーンでは、
モーツァルト生誕200年を祝って祝賀ムード。
このときは某旅行会社の
10日間のツアーを利用した。
旅行中にモーツァルト音楽の夕べがあり、
音楽を聴きながら食事もする。
盆休み少し前のオフ。
お陰で優雅な旅ができました。
初日はパリ経由プラハで、
7月11日20時着。
サマータームのヨーロッパは9時でも明るい。
ホテルにも恵まれた。
1-2日目はインターコンチネンタルで、
5つ星のホテル。
市街地まで歩いて行くことができ、
朝な夕なにライトアップを愉しみ、
ドナウ河畔を散歩して愉しみました。

中央ヨーロッパの旅は12年前。
しかし、訪問先は連日連夜の猛暑で、
最高気温も37℃ほど。
歩くほど汗びっしょりになり、
歩くのも苦痛になるほどで、
真夏の絶頂期でした。
とは言っても旅行前は、
プラハやザルツブルクは最高気温も20℃位で
ーー朝夕は冷えますので、
羽織るものを用意して下さい、
との添乗員さんの丁重な電話。
長袖も用意して
日本よりも涼しいだろうと思っていたら、
とんでもなかった!
中央ヨーロッパは例年にない猛暑で
天気が良いのも良し悪し、
毎日、真っ青な空が広がって、
半ば恨めしげに空を見上げていました。

ともあれ中央ヨーロッパは
歴史遺産の宝庫で見所満載でした。
どちらかと言えばヨーロッパの中でも
チェコやハンガリーは印象が薄い。
それとは対称的にオーストリアは音楽の都。
ヨハン・シュトラウスのワルツが奏でる
華やかな舞踏会の印象が重なる。
それは旧社会主義国と資本主義国の違いもあるでしょう。
けれど行って見て驚く。
どこへ行っても旅行客があふれ、
壁を塗り替え、建物を再建して、
遺跡をどんどん修復している。
プラハやブタペストは、
年毎に旅行客が増えているという。
そんな風にして遺跡は蘇り、
西欧文化も雪崩れ込んで、
東欧と西欧の差は確実に狭まっていました。
旧東欧諸国もEUに加盟し、
経済圏の一体化が進んでいる。
ヨーロッパに行くたびに思うことは、
国としての尊厳と誇り。
歴史遺産を守ることに
国の威信を賭けているように見える。
とりわけ西欧諸国に広がる
ハプスブルク家の歴史遺産は、
見事というか、凄いの一言でした。
ウィーン然り、そしてプラハもまた、
400年にわたる栄華の名残が
今に伝えられています。
オーストリアは歴史遺産の宝庫であると同時に
美しい風景がある。
とりわけザルツカンマーグートは、
ヨーロッパを代表する美しい自然の景観。
急な斜面を真っ赤なケーブルカーで
標高差1,200mをあえぐように登ると
登山鉄道の頂上駅に到着する。
そこには湖やアルプスを一望する
360度の大パノラマが広がっています。
湖が山肌を滑り降りて遥か下に従え、
見上げれば万年雪と
氷河を抱いた美しい山並みが広がっている。
これはシャーフベルク鉄道と呼ばれ、
ザルツブルクの郊外にあって、
あの映画「サウンド・オブ・ミュージック」の世界が重なります。
この映画の冒頭のシーンでは、
空からオーストリアの美しい山並みが映し出され、
ズームアップするとヒロインが登場して
サウンド・オブ・ミュージックの美しい歌声がひびく。
今もなおザルツブルクの美しい風景は、
この映画とオーバーラップしています。
その山裾にザルツカンマーグートという
湖水地方があります。
湖とチロルの山並みをのぞむ美しい景勝地で、
夏になると大勢の避暑客で賑わいます。
この地方を訪れたのは、
そうしたバカンスの真っ最中。
湖に点在する駐車場にも、
キャンピングカーが所狭しと並んでいました。

その後、世界遺産の街・ハルシュタットへ。
オーストリアの代表的な景観地。
湖に浮かぶ景色がとても美しい街。
しかしこの日は特別暑かった。
旅行を通じてずっと暑かったけれども、
この日は確か38度もあって、
歩くだけで疲れてしまいました。
2018.5.7





プラハ
チェスキークルムロフ





ハルシュタット~ザルツブルク