カナダへの手紙

カナディアンロッキーでは、
HPから深田さんの案内するツアーを探し、
10人ほど乗れるバンで
ロッキー山脈の北から南へと辿る。
スイスとは違った雄大な自然を背に
カナダの醍醐味を堪能することができました。

そして日本に帰着後、
お世話になった、
ガイドの深田さんにお礼のメールを。
そして数日後、

――私のHPにご利用者の声として載せてよいでしょうか、
との問合せ。
このメールはその後、
深田さんのツアーを紹介するHPに3年ほど
掲載されていました。

To.深田さんへ

旅は実際にその地に訪れてこそ
醍醐味があるものです。
どれほどその場所が素晴らしく、
綺麗にパンフレットを着飾ったとしても、
百聞は一見に如かず。
人の声、空気、川のせせらぎ、
さまざまな人の色や自然を体験してこそ、
感動を生の声として実感することができます。
カナダもまた然り!
月9日の夜、成田を出発して機上の人に。 
そして旅の始まりが、
あのカナディアンロッキーの旅でした。
そして貴殿のツアーを選んだ
正直な理由は「安い」から。
この飛び切りのハイシーズンに
家族で旅行に行くのは、
実際、本当に大変なことです。
しかし今にして思えばこれは正解でした。
貴殿のツアーに案内され、
予想以上、期待以上の体験をさせて頂きました。
本当にありがとうございます。

深田さんのガイドは、
語り口がソフトで説明が明瞭――。
細かな心配りもある。
しかし、単にガイドの巧さだけでなく、
カナディアンロッキーに住み、
カナディアンロッキーを愛する人間の
心意気を感じました。
さらに言えば、
カナディアンロッキーに住む人間の
信念とも言うべきものを感じたように思います。
カナダの風景は本当に素晴らしかった。
レイク・ルイーズは言うに及ばず、
モレーン湖やエメラルド湖、
そしてピート湖といった
ロッキーの山懐に抱かれた氷河湖の数々。
そのいずれも例えようのない美しさを湛え、
その背景にある氷河や
万年雪を抱いたロッキーの山並み、
そして真っ青な空や白い雲の、
森林や山とのコントラストが、
より一層その美しさを際立たせていました。
さらに印象に残ったのは、
深田さんの話の中に随所に表れた
然を慈しむ心でした。
ロッキー山脈を訪れる人々に与えられた
3つの掟のみならず、
自然に対する心配りや気配りを感じました。

一木一草といえども持ち帰ってはならない、
失われた自然は容易には還らないから。
動物に食べ物を与えてはいけない、
自らの力で餌を求めない動物は、
厳しい冬を乗り越えられないから。
熊を恐れず近づいてはいけない、
人に馴れ、街に餌を求める動物は、
人間とは共存できないから。  

高速道路には動物のための橋を作り、
トンネルを掘る。
そうした全てが
自然を保護するための心配りで、

自然回帰を第一に考え、
これほど自然を大切にする国は、
世界広しといえども
他にはないのではないでしょうか。
数十億年の時を刻んで築かれた自然の恵み、
それは心無い人のほんの一瞬の悪戯で、
取り返しのつかない痛手を負うのだと思います。

深田さん、
カナディアンロッキーに生き、
それを誇りに思う一人の人間として、
これからもこの地を訪れる人の
良きパートナーでいてください。

またいずれ来たいと思います。
その時は是非、
お世話になりたいと考えております。
その時はよろしくお願いします。
2日間、本当にありがとうございました。

2018.4.30