アンダルシアの熱い風ー2

誰がために鐘は鳴る

勝手な思い込みのスペイン紀行。一人合点の思い込みの中にこそ旅の愉しみは満載です。そんな思い出をほんの少し提供します。
スペインといえば僕自身は「誰がために鐘は鳴る」という映画を思い出します。アメリカの文豪、アーネスト・ヘミングウェイの原作によるスペイン内戦を舞台にした悲恋物語ですが、映画ではゲーリー・クーパーと知的美人女優として有名なイングリット・バーグマンが共演し、一世を風靡しました。僕自身は東京のリバイバル館で見ましたが、スペインの山岳地方を背景にした戦争映画で不思議な余韻を残しました。その風景が脳裏に刻まれて、スペインといえば映画の中の、その風景を思い出します。
そして、スペイン映画の代表作として「禁じられた遊び」があります。しかし、映画もさることながら、その哀切を伴うギター演奏が有名で、あのメロディは独特のスペイン旅情を醸し出しています。
こんな風に、スペインは同じヨーロッパでありながら、異質の風景と文化を感じます。それはスペインという国が、ピレネー山脈を隔ててイベリア半島の中に取り残されて、独特の歴史と文化を築いた国だからでしょうか。フランスと隣接しながら独自の海運国として発展した国。古くはスペイン王国として地中海を舞台に世界を席巻する強大な国を誇っていました。そして文化も、キリスト教文化とイスラム文化が交じり合い、建物もアジアンペーストの不思議な文化を醸し出しています。それがまた、スペインのスペインらしい魅力といっていいのかも知れません。ヨーロッパの陸の孤島。古くて新しい文化。そんな匂いをあちらこちらに感じます。
スペインにはさまざまな文化遺産がありますが、その代表的なもののひとつとしてアルハンブラ宮殿があります。グラナダにあるこの宮殿は、200年以上にわたり栄華をきわめ、イスラム教文化とキリスト教の文化が混在しています。赤茶けたその建物は、古く、いかめしく、いかにもスペインらしい建物ですが、細かく見ていくと精緻を極めた技巧が眩い光を放っています。この宮殿のテーマ曲である「アルハンブラ宮殿の思い出」は、「禁じられた遊び」と共にナルシソ・イエペスによる有名なギター曲ですが、深い哀愁をひめた名曲です。

アルハンブラ宮殿↕↓

ギター演奏はそうした曲ばかりではありません。フラメンコとギター。そして真っ赤なマントを手にした闘牛士の姿が、むしろスペインらしいと言えるでしょう。ツアーにはフラメンコを鑑賞する時間もありました。
スペインを代表する文化には、ガウディの建築もあります。バルセロナのグルニエ公園や、サグラダ・ファミリア大聖堂など一見の価値ありです。そしてまた、スペインは、ピカソやダリなど世界的な芸術家を輩出し、とりわけ目を引いたのは、マドリッドのプラド美術館でした。世界の三大美術館の一つともされ、その豪華で迫力ある芸術作品は、本当に驚かされます。観る者を圧倒し、その絢爛豪華な大作が居並ぶ姿は、芸術の殿堂に相応しい風格がありました。

サグラダファミリア

2018.4.11.