
いよいよ春本番――
このところ暖かい日が続いて、
寒さが緩んできたなと思っていたら、
数日前は夏日のような陽気。
桜の蕾も一気にひらいて
今や春爛漫の花ざかり。
例年ならちょうど今頃の季節は、
桜の蕾が膨らみはじめて
桜の花を眺めながら通勤したものでした。
この辺りは至る所に桜の見所があり、
見頃になったなと思えば、
少し早めに家を出て、
いつもの道を少し遠回りして
桜の花のトンネルを走り抜けたものでした。
道の両側から通りを覆うように
しな垂れて咲く桜並木に、
ひとときの安らぎを感じました。
この桜は日本の桜の名所百選にも選ばれ、
市内を埋め尽くす桜の競演は、
本当に見応えがあります。
この景色を見て会社にいた中国人は、
――桜が道路に迫り出して、
街全体が雲に浮かんだように見えます。
と洒落た表現をしていました。
そして、
――桜の開花は短く、
人生のように一瞬に輝いては
消える流れ星のようだ、とも。
でも、コレって不思議ですね。
桜を見て人生に例えるのは、
日本人特有の気質だと思っていましたが、
中国人からこんな言葉が飛び出して、
桜を見て感じる心は、
万国共通なのかもと感じたものでした。
桜の花には
妖艶な美しさがあります。
華麗で、
煌びやかで、
豊潤な美しさがあり、
そんな桜を見て外国のお客さんも
桜の花の美しさに驚きの声をあげます。
上野公園の桜、
北の丸公園や
千鳥ヶ淵の桜の花など、
桜の花を愛でる名所がたくさんあります。

さてもさても桜を見て思うのは、
時の流れの早さ。
新学期、新年度、新入学。
桜の花を見ながら時の移ろいを感じ、
去年の今頃は、あの頃は、
と感じたものでした。
我が家のこの辺りは、
例年ならば、
桜の花が咲く今頃が入学式の季節。
遠い日の記憶でも
入学式の日に桜の花が出迎えていました。
わが身を振り返ってみても
遥か遠い昔の記憶ながら、
真新しいランドセルを背にして
母親に手を引かれながら
学校に向かったものでした。
ともあれ桜の花と入学式は
春模様のセット販売のようだと感じます。

春の日の今頃、
こんなことがあったのを思い出します。
通勤途上に車を走らせていると、
真新しいセーラー服を着た
中校生らしい女の子が歩いている。
するとその子の顔がパッと輝いて走り出す。
バックミラーを覗くと、
反対側からも女の子が走ってきた。
友達だったんだねーー。
その日は入学式で初の登校日。
そんな日に親しい友と顔をあわせて
思わず走ったのだと思う。
そんななにげない風景が、
4月の新鮮な風を感じて
清々しい気持ちになったものでした。
2018.4.2