イタリア②/冷静と情熱の間(フィレンツェ~ヴェネチア)

Ⅱ.冷静と情熱のあいだ(フィレンツェ)
イタリアの文化遺産は、テレビCMにもよく登場します。例えば、かつては某社の清涼飲料水のCM――。列車からのぞむフィレンツェの風景の向こうに、サンタマリア大聖堂が見える。フィレンツェのシンボルとも言える半球状の屋根をもつあの建物は、数百年の時を刻んで、しっかりと街の風景に溶け込んでいます。あれを見ていると、映画「ダ・ヴィンチコード」を手始めとするダン・ブラウンの連作、そして「冷静と情熱のあいだ」のワンシーンが、サブリミナルのように蘇ってきます。そして原作を読んで、映画を観て、二人の作家のそれぞれ違うストーリーでしたが、「冷静と情熱のあいだ」の、
――10年後の私の誕生日に会いましょう!
と約束したのはサンタマリア大聖堂でした。確かにアレはラブストーリーがよく似合う風景で、主人公は絵画の修復師。それで思い出すのはウフィツィ美術館。世界的に有名な美術館で、ボッチチェリの「ビーナス誕生」や「春」が展示されていましたが、長い歳月で色褪せているように見えました。主人公は絵の修復師で、フィレンツェは美術絵画修復のメッカ?ではないのかと思いましたが、それに比較すると、スペインのプラド美術館の展示品は、極彩色そのままに、エル・グレコ、ゴヤ、ベラスケスなどのスペインを代表する画家の絵は、絵筆をとった当時のままという感じでした。

フィレンツェ/サンタマリア大聖堂

Ⅲ.旅情(べネチア)
Ⅲ.ヴェネチアの風景
アドリア海の女王「ヴェネチア」は、これぞイタリア!という風景ですが、地中海貿易の拠点となるイタリアは、その当時、多くの外敵に囲まれて貿易を営んでいました。だからこそ海に囲まれ、外敵から守ることのできる都市としてヴェネチアが繫栄しました。ヴェネチアは、アドリア海に浮かぶ都市として栄華をきわめ、文化・芸術の中心地として栄えました。
テレビで、今では古典ともいうべき「旅情」という映画が放映されたことがあります。その舞台が、ヴェネチアのサンマルコ広場や街の中を縦横に流れる運河でした。その中で恋に酔う二人がゴンドラに揺られながらゆったりと運河を渡る。僕自身もヴェネチアを訪れたとき、その風景を重ねつつ、夕暮れどきにゴンドラに揺られました。その傍らでは船乗りがカンツォーネを朗々と謳い上げ、それがうっとりするような美声で、旅情をそそる思い出のシーンとなりました。しかし小生の友人は、ヴェネチアを、臭い、汚い!といい、もう行きたくないと話すのです。夏のヴェネチアは海流が逆流して、流れ出す汚物が我慢ならないほどの臭いを放つと言います。これも人それぞれか。それに比べれば運が良かったし、そんな記憶もないままに、もう一度行きたいと思うのです。

ヴェネチア

もうひとつのイタリア、そして思い込みのイタリア。
それは「魔女の宅急便」――。
イタリアといえばなぜか、「魔女の宅急便」を思い出します。ユーミンの軽快な曲にのって箒に乗った「魔女キキ」が、空から舞い降りるあのシーンは、何処にも、ココはイタリア、とは書いていないのに、コレはイタリア!、きっとイタリア!と思い込んでいました。それほどに「魔女の宅急便」のあの風景は、イタリアのイメージそのものでした。実は、モデルになったのは、スックホルムともいわれ、ドヴロクニルともいわれて、諸説があるらしいのですが。憧れの風景。それほどイタリアは、ヨーロッパをイメージさせる風景で、記憶の中にしっかりと刻まれるシーンになっています。
それでは。
2018.2.22

魔女の宅急便

 

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