世界の中の日本

タイでは日本旅行が大ブレイク。
前年比で50%増だという
。と言っても4泊6日で旅行費用は16万円ほどだいうから決して安くはないが、タイの人にとって、日本は憧れの国。海外旅行の人気ランキングでもトップを走っている。大分前になるが、テレビでタイ人女性グループが日本を旅行する姿が紹介されていたが、なんでこんな所に!?と思うような日本人が見向きもしない富士山のビューポイント?で、背景にはさほど有名ともいえない五重塔が映し込まれている。タイではこうした場所をモニタリングして、それをテレビや雑誌で紹介し、私は日本のこんな所を再発見!とするのが流行りだという。タイは昔から親日国として知られているが、なんとも微笑ましい限りだ。彼らの渡航の目的は、美味しい日本食を食べて、ショッピングすること。それも、日本に住んで、日本で暮らす人にとっては当たり前の風景で、ありふれて、なんの変哲もない景色でも、ときとしてそれが彼らにとって魅力として映る。それが彼らの「Cool Japan」

観光立国・日本?!と呼ばれて久しい。
日本への旅行者が急増し、10年ほど前まで800万人だった渡航者が、昨年は3000万人に迫るという。大半は中国や韓国、台湾などのアジア近隣国だが、それにしても海外の人にとって日本はどんな魅力があるのだろう。それはなにも日本的な風景だけでなく、日本らしさの魅力は至るところにある。その中でも、日本人の気配りと親切さ、国民性の優れた点は世界中のあらゆるところから賞賛の声が届く。イギリスの最近の雑誌で、東京は「世界の住みやすい都市ランキング」で2年連続トップという栄光に浴した。それにベルリン、ウィーンが続く。東京は物価は高いが、安全で、清潔で、便利で、食事は美味しく、人が親切だという。

先日、海外の人の眼から見た日本の魅力を紹介した本を読んだことがある。変わり種として知られているのが渋谷の交差点。人がぶつからないで交差する姿が、外国人にとって「Cool」だという。それだけでなく日本人のマナーのよさ、親切さにも驚嘆の声あげる。かつてテレビで日本人は落とした財布に気づいたら落とし主に財布を返すだろうか?との実証実験を紹介していたが、10人中10人、拾い上げて小走りで前を行く落とし主に届けた。海外の人にとってはありえないこと。日本人はなんて正直で礼儀正しいんだとなる。

時間の正確さにも定評がある。これは世界広しといえど日本を越える国はない。数ある鉄道は全て定刻どおり、1分の狂いもない。朝のラッシュ時でも分刻みで列車が入り、時間の管理は全て秒刻み。電車を待つ人は駅のホームで列を作って並び、どんなに混雑していても、駅員の誘導で秩序正しく電車に押し込まれてゆく。これが凄いという。とかく海外では列車の定刻はあってないようなもの。中国では時間どおり列車が発車することはない。ある人が中国で列車を待っていると、定刻通りに走り出して、おっ今日は珍しいなと思っていると一日遅れだったとのエピソードもある。

日本文化の象徴として注目されるのは、トイレのシャワレットと自動販売機。日本に住んだことのある外国人なら、日本の便利機能の筆頭にシャワレットをあげる人が多い。自動的に便座が開いて、用を足した後の便利で気持よい快感を味わうことができる。だから母国に帰っても、我が家にもアレがほしいという人が後を絶たない。そして自動販売機。喉が渇いたとき、これを探すのに数百m歩く必要はなく、ほんの少し歩けば見つけることができる。しかも種類が豊富。清涼飲料水や、お茶、お菓子もあり、珈琲はさまざまな種類のプレンドや、砂糖付きとなし、ホットとアイスなど、どんな要求にも応えられる。これが凄いという。日本人のおもてなしやサービスの質の高さにも驚く。7&11はアメリカがルーツとなるが、ノウハウは100%日本発。コンビニは超便利。品揃えが豊富で、どんなものでもあり、郵便ポスト、発送と受け取りができる宅配便の取り扱いや、コンサートのチケット販売、銀行のキャッシングなど、これでもかこれでもか、というほどコンビニには便利機能が詰まっている。最近は日本型コンビニが台湾や韓国だけでなく、ヨーロッパでも見られるようになった。コンビニはある意味で日本らしいおもてなしの発想が原点にある。お客さまがなにを望み、心地よいサービスとして感じるのか。それを究極まで推し進め、その先にコンビニの理想の姿がある。それが商売上のおもてなしの作法、サービスが売り上げに貢献するとの考え方に基づいている。

エピソードⅠ
本人のサービスはこれにとどまらない。
ある中華料理店でのこと。ラッシュ時の駅構内のように店内はすし詰め状態。そこに外国人が来て席に座った。ところが後からもう一人の客が入って来たので、席をあけようと奥に詰めたとき、うっかり醤油の瓶をひっくり返してしまった。ほかの客は慌てて紙ナプキンで醤油を拭き取り、店員もお絞りを手にして飛んできた。客がテーブルを拭けるようにとトレイを持ち上げると、さらにトレイの上の器を倒してこぼしてしまう。店員は新しいお絞りを取りに走り、彼は事態を収拾しようと焦りながら平謝りに謝った。周りの客は迷惑そうにすることもなく、気の毒そうに見ている。こんなに混んでちゃ仕方ないよ、という風に。そして店員は器をさげると、濡れませんでしたか、大丈夫ですか、と言いながら何度も頭を下げ、代わりの料理を運んできた。店の責任ではない。けれど、そんなこともごく当たり前のことのように振舞う。そんなことは考えられない、海外では。けれど、日本人はそれをごく普通のことのように応じる。それがおもてなしで、日本人らしさ。そうした客のおもてなしが日本人は凄いという。日本人のサービスは世界の人たちから見れば、ある意味で常軌を逸している。レジでもにこやかに応対し、どんなときも礼儀正しく、愛想がよい。こうした姿は観光するだけでは出逢うことはないかも知れない。しかし旅なれるほどそれが日本人の素晴らしさとして外国人に受け入れられ、日本びいきは増えていく。
2018.2.16