St.Valentine’s Day

いつか見たドラマの中で、
――過去は変えられないけれど、
未来は変えることができる――
という台詞がありました。
フゥ~ン、ナルホド、と見ていましたが、ドラマの中のこんな台詞、そして映画のワンフレーズ、結構、泣かせる言葉や記憶に残るシーンがあるものです。
ともあれ、そんなことを考えながら某女流脚本家と某作家の恋愛談義を思い出しました。女流脚本家はシナリオ書きの極意を、
―― 結局は、自分自身の恋愛を
切り売りしていくしかないんですよね……、と。
フムフム、するとあれは、と思いつくものがあります。それにしても脚本の中に散りばめられた軽妙な言葉、それを登場人物に託していく感性。それは見事ですが、自分の恋愛を切り売りしていく、との言葉にはなにかしら哀しい響きがあります。

2月14日。
St.Valentine’s Day――。
今年もその日が来ました。とは言え年毎に無縁になりつつあるその日を、一種のはかなさをもって迎えることになりそうです。
それはそれとして、コレも所変われば品変わる。この日を待ちわびて恋人たちの祭典になることもあれば、淡いレモン色の恋模様に染められる日もある。さまざまな色に染められ綴られる恋模様。世に言う恋愛論も数々あれど、そのどれもがほんの少し恋愛の素顔がわかる程度で、さほど恋のてほどきになることもないでしょう。こればかりは当人の気持ち次第。相手をどれほど想い、それをどう伝えるかということに行き着く。人が恋の後押しをしても、おそらくはなんの役にも立たないし、恋心は他人には容易には踏み込めない神聖な領域があるように思うのです。だから、百人に百通りの恋愛があって、結局は自分で自分流のスタイルを作っていくしかない。
それでもこれだけは言えるでしょう。なによりも大切なことは、常に新鮮さを失わないこと。そして、お互いの向上心を大切にすること。それは相手に求めるのではなく、自分自身で日々切磋琢磨し、それを通してお互いの中に新しい何かを発見していくこと。単なる日々の繰返しでは、いつしか新鮮さは失われほんの少しのボタンの掛け違いも、それが取り返しのつかない溝に発展していきます。
そして真実の愛は、決して見返りを求めないこと。
かつて読んだ小説の中に、
――愛とは決して後悔しないこと。
とのフレーズがありました。この主人公にとっては、人を愛し、その結末がどうあろうとも、愛を貫いたことに決して悔いはない、ということなのでしょう。無償の愛、見返りを求めることのない愛。
コレは「Love story」の中の一節。この小説では、主人公の相手は、病に伏して死んでしまいますが、それでも、後悔しない、と言えるのは愛の力であるのかもしれません。
とりとめのない話しになりました。
2018.2.14

映画「ある愛の詩」