翌日は、パースから北へ250kmほどの、ピナクルズという奇岩の切り立つ景勝地に向かう。ピナクルズは、荒れた大地に奇岩が無数に突き出して、別称「荒野の墓標」とも呼ばれている。広大な砂地。太古の昔は原生林で、その原生林が風化して、堆積した石灰岩の層だけが取り残され、こうした奇岩を作りあげたという。それは、数千万年、数億年という、気が遠くなるような歳月をかけて作られ、地球創世期の歴史を語る風景になっています。


その日のツアーはいすずの大型四駆。11人ほど乗ったが、ピナクルズに辿り着くまでが大騒動。同乗したのは当時の第一勧銀の親子連れと、多分、中国系シンガポール人だと思うが、やたらに騒々しい女の子の4人連れで車の中では大声ではしゃいでいた。紳士然とした銀行マンは迷惑そうに、注意しようか、と話していたが、穏便にとやり過ごした。親もなかなかの紳士なら、息子も賢そうな男前。そして、母親は小さな娘を見ながら
――女の子がほしかったね、
と話していた。大型四駆はその後、故障してコアラのいる公園で足止め。そこでウォンバットを抱き上げましたが、思ったよりも大きくて、どっしりとして、けれど凄くおとなしかった。
さらに、ピナクルズからインド洋に向けてひた走る。低木が果てしなく広がる荒地を走り抜け、やがて視界の向こうに海が広がり、ところどころに純白の砂浜が見える。海岸を降りると、その背後には純白の砂浜。珊瑚や貝のかけらでできたものらしい。自然の脅威ともいえる美しい風景で、雪よりもさらに白い砂が砂浜に敷き詰められていた。やがてインド洋に沈む夕陽が、大きく、美しく輝いて、カップ片手に、しばしのティータイムを愉しみました。

翌日は銀行員ご推奨のロッドネスト島へ。パースに隣接する小さな島で舟で渡った。贅沢は敵とロッドネスト島は自前で渡ることにして、ツアー料金の半分で済んだ。到着後は自転車を借りて島内を一周。ごく小さな島で周囲10kmほど。サイクリングしながら綺麗な風景を見て爽快な気分に浸りました。オーストラリアといえば有袋動物の宝庫。途中にはねずみよりひとまわり大きい有袋動物がいて、そんな動物が道路の横で人懐っこい顔を見せていました。

さらに、忘れ難い風景にエアーズロックがある。日本から南下してパースに到着した後、大陸の中心に向かい、「世界の中心で愛を叫ぶ」の伝説的な舞台となったエアーズロックを目指した。オーストラリアの先住民族アボリジニの聖地で、太陽が西に身を沈めるとき世界で一番大きな一枚岩・エアーズロックは、夕日に染められて真っ赤に輝いている。それは神々しく、そして美しい。その神秘的な色に魅せられてアボリジニはエアーズロックに神を見たのでしょう。
やがてこの広大無辺の赤い大地は、夕闇に包まれ、漆黒の闇の中に満天の星空があらわれます。私たちはスターライト・ツアーに参加して、暗い闇に向かってひた走り、広漠としたブッシュの中で車を止める。そして車を降りたときの衝撃、身震いするような感動に満ちていました。360度に広がる満天の星空。そのときのことは次回に。

2018.2.10