西オーストラリア(パース)

二度目は翌年のGW――。
前年末のオーストラリアは初めての海外から10年後で、見るもの聞くもの全てが新鮮で、刺激的。その感動は忘れ難く、もう一度オーストラリアへ!との気持ちが強まり、西海岸のパースへと向かった。
オーストラリアは政治経済の中心地・シドニーを中心にした東海岸と、西海岸の拠点となるパースがある。だから、未踏の地であるパースが候補になった。パースは砂漠の中のオアシスのように美しい佇まいを見せ、かつては著名な旅行評論家がパースを称して、「世界でいちばん美しい都市」と語った。そこから東に目を移せば、世界の臍と呼ばれ、映画「世界の中心で愛を叫ぶ」で一世を風靡したアボリジニの聖地・ウルルがある。いわゆるエアーズロックのことで、その後、東海岸のシドニーからブルーマウンテンへ周るツアーを中堅どころの旅行会社に依頼した。ところが、直前に届いた予定表ではエアーズロック近辺の滞在が延びて、シドニー泊が短縮。旅程表が勝手に変更になっていた。これでは予定したブルーマウンテンには行けないと怒り心頭で旅行会社に抗議し、それに躊躇したのか、電話で謝罪してきたものの計画変更はなし。その代わりにさまざまなオプションが用意されていた。
まずは、パースに到着して白いベンツのリムジン車がお出迎え。オーストラリア西海岸に1台しかないリムジン車とのことで、ホテルに着けば部屋にはフルーツバスケット。翌々日はお詫びにと、ピナクルズへのツアーに家族4人を無料ご招待。パースから北へ250km、いすずの大型四駆に乗って丸一日の小旅行。ピナクルズを観光後、純白の砂浜が点在する海岸に到着し、インド洋に沈む太陽を背にしてティータイム。夜は星の瞬く海岸を走り、無事にホテルへ到着した。それだけではなく、シドニーではホテルのグレードアップ。大理石風呂のある豪華なインテリアのコネクティングルームに案内されて、相当の付加価値が付いた。しかし、数年後にはその旅行会社は倒産。あんなことしてるからだよ、と思った。

さて旅の話に戻します。
一日目はパース――。
パースは西海岸最大の都市で人口百数十万人ほど。特別大きな都市ではないが、西海岸最大のビジネスタウン。そんなことから、もっと気忙しい都会を想像していたが、さにあらず。人はゆったりとして、車ものんびりしている。あるときパースの街の中で道に迷って地図を広げていると、二人連れのビジネスマンが声をかけてきて、目的地を地図で示し、わかりにくいからと現地まで案内してくれた。パースは観光客も多く、そうしたことに慣れていたのかもしれないが、フレンドリーなオーストラリア人の一面を見たような気がした。

パース

パースの魅力は、なんといっても街並みの美しさにある。西洋風の重々しい歴史を感じることもなく、どこまでも屈託がなく、開放的で、燦々と降り注ぐ太陽がよく似合う。街の中心にはスワン川が流れ、家並みは特別豪華ではないが、こざっぱりとして美しい。街の中央にはキングスパークという広大な公園があって、6月になるとワイルドフラワーが一斉に咲きほこる。街並みと水と緑の調和。それが魅力と言えます。

パースの街並み

(次回に続く)
2018.2.8